DCR(債務回収比率)とは?不動産投資の安全性と融資審査で重要な指標

不動産投資では「利回り」や「表面利回り」に注目しがちですが、
実際のキャッシュフローや融資審査でより重要視されるのが DCR(債務回収比率 / Debt Coverage Ratio) です。

DCRとは、
物件が生み出す年間収益(NOI)が、年間のローン返済額をどれだけカバーできているか を示す指標のことで、

返済に余裕のある投資か
金利上昇や空室が起きても耐えられる投資か

を判断するための非常に重要な基準となります。

目次

DCRの基本|意味と計算式

DCRの定義

DCR(Debt Coverage Ratio)とは、

DCR = NOI(営業純利益) ÷ 年間返済額

で算出されます。

ここでいう NOI(Net Operating Income) は下記の通りです。

NOI = 年間家賃収入 − 年間運営費
(管理費・修繕・保険・固定資産税・広告費など)

つまり、単純な家賃収入ではなく、
運営コストを差し引いた後に本当に残る収益で返済を賄えるか を見る指標です。

計算例

  • 年間家賃収入:600万円
  • 年間運営費:150万円 → NOI = 450万円
  • 年間返済額:360万円
DCR = 450万円 ÷ 360万円 = 1.25

この場合は、返済額を25%上回る収益がある=余裕がある状態です。

DCRはいくらあれば安全?目安と基準

DCRが大きいほど返済余裕があり、
キャッシュフローの安全性が高い投資と言えます。

DCR評価コメント
1.4 以上非常に安全空室・修繕・金利上昇にも耐えやすい
1.2〜1.39標準問題ないが余裕は大きくない
1.0〜1.19危険返済がぎりぎりで赤字リスクが高い
1.0 未満不採算NOIが返済額を下回り、赤字確定

DCRが 1.0未満 の場合、
NOI(収益)< 返済額のため、運営するだけで赤字です。

金融機関がDCRを重視する理由

金融機関は融資審査の際、

貸したお金を確実に返済してもらえるか

を重視します。その判断基準の中心にあるのがDCRです。

融資判断の傾向必要とされるDCRの目安
積極的に融資しやすい1.4以上
通常融資ライン1.2以上
審査が厳しくなる1.2未満

※ 銀行・築年数・立地・用途により変動あり

そのため、DCRの強化は融資戦略にも直結します。

DCRとキャッシュフローの関係を理解する

DCRが高いほど、返済後のキャッシュが残りやすくなります。

例として、同じ物件でも DCR が変わるだけで手残りキャッシュは大きく変わります。

NOI年間返済額DCRキャッシュフロー
450万円360万円1.25+90万円
420万円360万円1.17+60万円
380万円360万円1.05+20万円
350万円360万円0.97▲10万円(赤字)

収益性は「利回り」だけではわからず、
返済能力=DCRがキャッシュフローを大きく左右する
ことがわかります。

DCRを判断する際の注意点

表面利回りでは判断できない

DCRは NOIが基準 のため、
満室前提の表面利回りの数字で判断しても意味がありません。

空室率や運営費をシビアに見積もることが大切です。

フルローンはDCRが下がりやすい

借入比率が高くなるほど返済額が増え、DCRは下がります。

  • 自己資金少 → DCR低下・リスク高い
  • 頭金を厚くする → DCR改善・融資審査も有利

融資姿勢や投資スタンスによって調整が必要です。

変動金利は将来的にDCRが悪化する可能性

金利上昇=返済額増加 → DCR低下

長期保有の場合、

  • 金利が1%上昇した場合
  • 空室率が上昇した場合

などのシミュレーションを事前に行い、耐久性を確認することが望ましいです。

まとめ|DCRは「安全性」と「融資力」を判断する重要指標

  • DCR = NOI ÷ 年間返済額
  • 物件収益が返済をどれだけ上回るかを示す指標
  • 1.2〜1.4以上が一つの安全ライン
  • 銀行融資の可否にも直結する
  • 高利回りでも DCR が低いと手残りが少ない(赤字リスクあり)

不動産投資で長期安定運用を目指すなら、
利回りだけでなく必ずDCRも確認することが重要です。

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