法定耐用年数

法定耐用年数とは、税法(法人税法施行令)で定められた、資産の使用可能期間を示す年数のことです。
建物や設備などの固定資産は、この耐用年数に基づき減価償却費を計算します。
耐用年数は実際の物理的寿命ではなく、税務上の償却期間を定める基準です。


不動産投資との関係

不動産投資では、法定耐用年数は以下の点で重要です。

  • 減価償却期間を決める
  • 中古物件の購入時の評価額に影響
  • 融資期間や金融機関の評価にも影響

建物の法定耐用年数(主な例)

建物の構造用途法定耐用年数
鉄筋コンクリート造(RC造)住宅47年
鉄筋コンクリート造(RC造)事務所50年
鉄骨造(骨格厚4mm超)住宅34年
木造・合成樹脂造住宅22年

中古物件の耐用年数計算

中古物件の場合、法定耐用年数は以下の式で計算します。

(1)残存耐用年数の計算式

残存耐用年数 = (法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%

※小数点以下は切り捨て
※経過年数が法定耐用年数を超える場合は、法定耐用年数 × 20%を残存耐用年数とする

例:

  • RC造マンション(住宅)法定耐用年数:47年
  • 築20年の物件の場合
残存耐用年数 = (47 − 20)+ 20 × 20%
      = 27 + 4
      = 31年

法定耐用年数の活用ポイント

  • 減価償却期間が長いほど、毎年の償却費は少なくなる(利益圧縮効果は小さい)
  • 中古物件は耐用年数が短くなるため、償却費を多く計上でき、節税効果が高まる場合がある
  • 銀行融資では、残存耐用年数が融資期間の上限になることが多い

実際の耐用年数と法定耐用年数の違い

  • 法定耐用年数:税法上の減価償却計算の基準
  • 物理的耐用年数:建物が実際に使える期間(適切なメンテナンスで延びる)
  • 税務上の耐用年数は短めに設定されている傾向がある

まとめ

法定耐用年数は、不動産投資における減価償却の基準であり、節税や融資条件にも影響します。
特に中古物件は、残存耐用年数を正しく計算することで、投資収益やキャッシュフローの予測が正確になります。
投資判断時は、物件の構造・築年数と合わせて必ず確認しましょう。