敷金

敷金とは、賃貸借契約時に借主が貸主に預ける保証金のことです。
契約終了時に、未払い家賃や原状回復費用などを差し引いた残額が返還されます。
主に住宅や店舗などの賃貸契約で用いられ、借主の債務不履行に備える性質があります。

敷金の役割

  1. 未払い家賃の保証
    借主が家賃を滞納した場合に敷金から充当
  2. 原状回復費用の担保
    借主が入居前の状態に戻すための修繕費用に充当
  3. 契約違反時の損害補填
    契約条項違反によって貸主に損害が発生した場合の補償

敷金と礼金の違い

項目敷金礼金
性質預け金(契約終了時に精算・返還)契約時に支払う謝礼金(返還なし)
使途未払い家賃・修繕費用など特に用途の定めなし
税務上の扱い預かり金貸主の収入

敷金の返還ルール

敷金は、賃貸借契約が終了し、物件が明け渡された後に精算されます。
返還額 = 敷金預託額 −(未払い家賃+原状回復費用+その他損害賠償)

原状回復の基準

国土交通省の**「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」**では、借主負担の範囲が明確化されています。

  • 借主負担:故意・過失・通常使用を超える損耗(タバコのヤニ汚れ、大きな傷など)
  • 貸主負担:通常使用による自然損耗(家具跡のへこみ、経年劣化など)

敷金トラブルの原因と対策

よくあるトラブル

  • 貸主が必要以上の修繕費を請求
  • 借主が返還額に納得できない
  • 精算基準が契約書に明記されていない

対策

  • 契約前に敷金精算条件を契約書に明記
  • 入居時と退去時に写真で室内状況を記録
  • ガイドラインに基づいた精算を要求

不動産投資家視点のポイント

  • 敷金はオーナーにとってリスクヘッジの役割を持つ
  • 高額設定は入居ハードルを上げる可能性がある
  • 「ゼロ敷金物件」は集客力は高いが、家賃滞納や原状回復費の回収リスクが上がる

まとめ

敷金は、貸主・借主双方の契約履行を担保する重要な制度です。
正しく設定し、契約書に精算条件を明確にすることで、退去時のトラブルを防ぐことができます。
特に不動産投資家にとっては、入居促進とリスク回避のバランスが重要な判断ポイントです。