イールドギャップとは?不動産投資で必ず押さえたい「金利との余裕度」

不動産投資を検討するとき、物件の「利回り」ばかりに目が行きがちですが、実際のキャッシュフローに大きく影響するのは イールドギャップ です。

イールドギャップとは、
「物件の利回り」と「借入金利(ローン金利)」の差 のこと。

簡単に言うと、

物件の収益性が、ローン金利をどれくらい上回っているか

を表す指標であり、
キャッシュが残る投資かどうかを判断するうえで非常に重要 です。

このページでは、イールドギャップの基本から計算方法、目安、注意点まで、不動産投資が初めての方にもわかりやすく解説します。

目次

イールドギャップの基本|なぜ重要な指標なのか

イールドギャップの定義

イールドギャップ(Yield Gap)とは、

イールドギャップ = 利回り − 借入金利

で求められる「差」のことを指します。

ここでいう「利回り」は、
・表面利回り(グロス利回り)
・実質利回り(ネット利回り)
のどちらを使う場合もありますが、実態に近い判断をするなら 経費や空室を考慮した「実質利回り」で計算するのがおすすめ です。

不動産投資では「金利に勝てているか」がカギ

不動産投資は、多くの場合、銀行ローンを活用します。
そのため、家賃収入がいくら入るかだけでなく、

物件の利回りが、借入金利よりどれだけ高いか

が、手元にどれだけ現金が残るかに直結します。

  • イールドギャップが 大きい
    → 金利に対する余裕が大きく、キャッシュフローも出やすい 状態
  • イールドギャップが 小さい/マイナス
    → 収入の多くが返済に消えてしまい、手残りが出にくい、赤字リスクが高い 状態

見た目の利回りだけではなく、
「金利と比べてどうか?」という視点を持つことが、堅実な不動産投資には欠かせません。

イールドギャップの計算方法

基本の計算式

イールドギャップの基本式はとてもシンプルです。

イールドギャップ(%) = 利回り(%) − 借入金利(%)

例1:表面利回りを使ったイールドギャップ

  • 表面利回り:6.0%
  • 借入金利 :1.5%
イールドギャップ = 6.0% − 1.5% = 4.5%

この場合、金利より4.5%分だけ高い収益を取れている状態 です。

実質利回りで計算するとより現実的に

表面利回りは「満室前提・経費無視」の数字なので、実際の投資判断としてはやや甘めです。
より現実に近いイールドギャップを知るには、実質利回り(ネット利回り) を使うと精度が高まります。

実質利回り(ネット利回り) =
(年間家賃収入 − 年間運営費) ÷ 物件価格 × 100

例2:実質利回りで見るイールドギャップ

  • 年間家賃収入:600万円
  • 年間の運営費(管理費・修繕費・保険・固定資産税など):150万円
  • 物件価格:8,000万円
  • 借入金利:1.5%
実質利回り =(600万円 − 150万円) ÷ 8,000万円 ×100
     = 450万円 ÷ 8,000万円 ×100
     = 5.625%

イールドギャップ = 5.625% − 1.5% = 4.125%

表面利回りだけで見るより、
経費を引いたうえで金利にどれだけ勝っているか が明確になります。

イールドギャップはどれくらいあれば安心?目安の考え方

イールドギャップの「適正値」は、エリア・物件の状態・築年数・借入比率などによって変わりますが、一般的な目安は以下のように言われます。

イールドギャップの目安

イールドギャップ状況の目安コメント
4%以上かなり余裕ありキャッシュフローが出やすく、金利上昇リスクにも比較的強い
2〜4%標準的な水準物件条件や今後の金利動向を慎重に確認
2%未満余裕が小さい手残りは出にくく、空室や修繕で簡単に赤字になりうる
0%以下危険水準利回りが金利を下回っており、基本的に投資対象としては要注意

あくまでも一般的な目安であり、
「イールドギャップだけで投資判断をしない」ことが大切 ですが、

少なくともプラスであること
できれば 3〜4% 以上あることを一つの基準

として考えている投資家が多いです。

イールドギャップとキャッシュフローの関係をイメージする

同じ利回りでも金利で手残りが大きく変わる例

条件(共通)

  • 物件価格:8,000万円
  • 年間家賃収入:600万円(表面利回り 7.5%)
  • 返済期間:30年
  • 元利均等返済・フルローン(8,000万円借入)と仮定

パターンA:金利1.0%の場合

  • 年間返済額(概算):約 308万円
  • 年間キャッシュフロー(家賃 − 返済):
     600万円 − 308万円 = 約 292万円

イールドギャップ(表面利回りベース)
7.5% − 1.0% = 6.5%

パターンB:金利2.5%の場合

  • 年間返済額(概算):約 382万円
  • 年間キャッシュフロー:
     600万円 − 382万円 = 約 218万円

イールドギャップ:
7.5% − 2.5% = 5.0%


イールドギャップが 6.5% → 5.0% に縮まるだけでも、
手残りキャッシュフローは 70万円以上も差 が出てきます。

利回りだけ見ると同じ「7.5%」でも、
金利(借入条件)が違うとキャッシュフローはまったく別物になる

ことがイメージしやすいと思います。

イールドギャップを見るときの注意点

表面利回りベースだと「実態より良く見える」

イールドギャップを簡易的に出すとき、
販売図面に書かれた 表面利回り − 金利 で計算されることが多いですが、

  • 実際には
     管理費・修繕費・保険・固定資産税・広告費・空室リスク などの運営コストが発生
  • 築古物件ほど修繕費の負担が増える傾向

などを考えると、表面利回りだけでイールドギャップを判断するのは危険 です。

可能であれば、
・過去の修繕履歴
・今後必要になりそうな修繕
・管理会社の見積もり
などから運営費をシミュレーションし、
実質利回りベースのイールドギャップ も併せて確認しましょう。

レバレッジ(自己資金割合)との関係

イールドギャップは「物件の利回り」と「借入金利」の差を見る指標であり、
自己資金の割合(頭金・諸費用)までは反映しません。

  • 自己資金が少なく、フルローンに近いほど
     → レバレッジ効果は大きくなるが、返済比率も高くなる
  • 自己資金を厚く入れれば
     → 安全性は増すが、自己資金利回りとしては薄く見える

イールドギャップはあくまで
「物件の収益性と金利のバランス」 を見る指標であり、

・自己資金利回り(投下資本利益率)
・キャッシュフロー
・将来の売却益(キャピタルゲイン)

などと組み合わせて総合的に判断することが重要です。

金利上昇リスクも忘れずに

将来的に金利が上昇すると、

  • 借入金利が上がる
  • = イールドギャップが縮む
  • = キャッシュフローが圧迫される

という構図になります。

特に 変動金利で長期借入している場合 は、
現在のイールドギャップに余裕があっても、

  • 「金利が1%上がったら、キャッシュフローはどうなるか?」
  • 「金利が上がっても保有を続けられるか?」

といったシナリオもシミュレーションしておくと安心です。

まとめ|イールドギャップは「金利に対する安全マージン」

最後に、このページのポイントを整理します。

  • イールドギャップとは
     物件の利回り − 借入金利 の差を表す指標
  • 利回りが金利をどれだけ上回っているか
     = キャッシュフローの余裕度・安全マージン
  • 一般的な目安としては
     3〜4%以上あれば一つの基準 とされることが多い
  • 表面利回りベースだけで判断せず、
     実質利回りベースのイールドギャップも確認 することが大切
  • 自己資金割合や将来の金利上昇リスクも踏まえ、
     イールドギャップは あくまで「投資判断のひとつの物差し」 として使う
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