一棟アパート投資シミュレーション|利回り・融資・税金・積算評価まで徹底解説

一棟アパートへの不動産投資を検討するとき、「表面利回り」だけを見て購入を判断するのは十分ではありません。

実際の一棟アパート経営では、家賃収入から管理費や修繕費、固定資産税などの経費が発生し、融資を利用する場合は毎月のローン返済も必要になります。

さらに、購入時には不動産取得税や登録免許税などが発生し、保有中には所得税・住民税・固定資産税など、売却時には譲渡所得に対する税金なども考慮する必要があります。

そのため、一棟アパート投資では、

「いくら家賃が入るのか」ではなく、「税金やローン返済まで差し引いて最終的にいくら残るのか」

をシミュレーションすることが重要です。

本ページでは、一棟アパート投資を検討する際に確認しておきたい、利回り・NOI・DSCR・CCR・損益分岐入居率・融資・減価償却・税金・積算評価・建蔽率・容積率・売却まで、総合的なシミュレーション方法について解説します。

目次

一棟アパート投資シミュレーションとは?

一棟アパート投資シミュレーションとは、物件を購入した場合に「年間どのくらい利益が出るのか」「ローンを返済しても現金が残るのか」「将来的に売却した場合に最終的な利益はいくらになるのか」などを事前に計算するものです。

基本的には、

家賃収入
- 空室損失
- 運営経費
- ローン返済
- 税金
= 税引後キャッシュフロー

という流れで考えます。

ただし、本格的な投資判断では1年間だけでは十分ではありません。

家賃下落、空室率、金利上昇、大規模修繕、減価償却の終了、ローン残高、売却価格なども考慮し、10年・20年・30年・35年といった長期的なシミュレーションを行うことが重要です。

一棟アパート投資でシミュレーションする項目

一棟アパート投資では、主に次の項目を入力して収支を計算します。

物件に関する項目

  • 物件価格
  • 土地価格
  • 建物価格
  • 所在地
  • 土地面積
  • 建築面積
  • 延床面積
  • 戸数
  • 築年数
  • 建築年月
  • 建物構造
  • 用途地域
  • 建蔽率
  • 容積率
  • 前面道路
  • 接道間口

収入に関する項目

  • 満室想定家賃
  • 現況家賃
  • 共益費
  • 駐車場収入
  • その他収入
  • 現在の入居率
  • 想定空室率
  • 想定家賃下落率

運営経費に関する項目

  • 管理費
  • 清掃費
  • 共用部電気代
  • 共用部水道代
  • 修繕費
  • 原状回復費
  • 入居募集費
  • 火災保険料
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • その他経費

融資に関する項目

  • 借入金額
  • 自己資金
  • 金利
  • 借入期間
  • 返済方法
  • 年間返済額
  • ローン残高

税金に関する項目

  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税(該当する場合)
  • 売却時の譲渡所得に対する税金

これらを総合的に計算することで、一棟アパート投資の収益性と安全性を確認します。

一棟アパート投資の表面利回り

一棟アパートの販売資料で最もよく使われる指標が「表面利回り」です。

表面利回りの計算方法

表面利回りは、

年間満室想定家賃収入 ÷ 物件価格 × 100

で計算します。

例えば、

物件価格:8,000万円
年間満室想定家賃:600万円

の場合、

600万円 ÷ 8,000万円 × 100

7.5%

となります。

ただし、表面利回りには空室や管理費、修繕費、税金などが含まれていません。

そのため、一棟アパート投資では表面利回りだけで判断しないことが重要です。

空室率を考慮した年間収入を計算する

満室想定家賃が年間600万円でも、35年間ずっと満室が続くとは限りません。

例えば想定空室率を5%とすると、

600万円 × 95%

570万円

となります。

この570万円を実効的な年間家賃収入としてシミュレーションします。

空室率は複数パターンで確認する

例えば、

標準ケース:5%
慎重ケース:10%
ストレスケース:20%

というように複数パターンを計算すると、空室が増えた場合のリスクを確認できます。

NOI(営業純利益)を計算する

一棟アパート投資では、NOIが非常に重要な指標になります。

NOIとは「Net Operating Income」の略で、物件そのものが生み出す営業純利益を意味します。

NOIの計算方法

基本的には、

実効年間収入-年間運営経費=NOI

です。

例えば、

実効年間収入:570万円
年間運営経費:114万円

なら、

570万円-114万円

456万円

となります。

この456万円がNOIです。

ローン返済はNOIには含めません。

一棟アパートの実質利回りを計算する

表面利回りより実態に近い指標として「実質利回り」があります。

例えば、

NOI:456万円
物件価格:8,000万円

の場合、

456万円 ÷ 8,000万円 × 100

5.7%

です。

表面利回りが7.5%でも、空室や経費を考慮すると実質的な収益力は5.7%まで低下するということです。

一棟アパート投資の融資シミュレーション

一棟アパート投資では、物件そのものの収益性だけでなく融資条件によってキャッシュフローが大きく変わります。

例えば、

物件価格:8,000万円
借入金額:6,400万円
自己資金:1,600万円
金利:2.0%
借入期間:30年

としてローン返済額を計算します。

収入見込が返済額を超えているか確認する

最低限確認したいのが、

年間収入見込 > 年間ローン返済額

となっているかです。

ただし、より重要なのは、

NOI > 年間ローン返済額

となっているかです。

例えば、

NOI:456万円
年間返済額:約284万円

なら、

456万円-284万円

約172万円

となります。

これが税引前キャッシュフローの一つの目安になります。

DSCRでローン返済の安全性を確認する

一棟アパート投資で融資を利用する場合、DSCRも確認したい重要な指標です。

DSCRとは「Debt Service Coverage Ratio」の略で、物件収益によってローン返済をどの程度カバーできているかを見る指標です。

DSCRの計算方法

NOI ÷ 年間ローン返済額

で計算します。

例えば、

NOI:456万円
年間返済額:284万円

の場合、

456万円 ÷ 284万円

約1.61

となります。

DSCRが1.0の場合、NOIとローン返済額がほぼ同額ということになります。

数値が高いほど、一般的には返済余力が大きいと考えることができます。

返済比率を確認する

ローン返済額が家賃収入に対してどの程度を占めるのかも確認します。

例えば、

実効年間家賃収入:570万円
年間返済額:284万円

なら、

284万円 ÷ 570万円 × 100

約49.8%

です。

返済比率が高すぎる場合、空室増加や修繕費の発生によってキャッシュフローが悪化する可能性があります。

CCRで自己資金の投資効率を確認する

CCRとは「Cash on Cash Return」の略で、自分が実際に投入した現金に対して、年間どれだけキャッシュフローを得られているかを見る指標です。

CCRの計算方法

年間税引前キャッシュフロー ÷ 投入自己資金 × 100

で計算します。

例えば、

頭金:1,600万円
購入諸費用:560万円
投入自己資金:2,160万円
年間税引前CF:172万円

の場合、

172万円 ÷ 2,160万円 × 100

約8.0%

となります。

損益分岐入居率を確認する

一棟アパートでは、

「入居率が何%まで下がったらキャッシュフローが赤字になるのか」

を確認することも重要です。

これを損益分岐入居率として確認します。

例えば、

満室年間家賃:600万円
年間運営経費:114万円
年間ローン返済額:284万円

と単純化すると、

114万円+284万円

=398万円

398万円 ÷ 600万円 ×100

約66.3%

となります。

実際には経費の中に空室率に応じて変動するものもあるため、より詳細なシミュレーションでは固定費と変動費を分けて計算します。

一棟アパート購入時にかかる税金

一棟アパート投資では、購入時から税金が発生します。

購入諸費用を計算するときは、これらを自己資金に含めて考える必要があります。

不動産取得税

土地や建物を取得した場合に課税される都道府県税です。

基本的には固定資産税評価額を基礎として計算します。

売買価格にそのまま税率を掛けるわけではありません。

また、土地・住宅については一定の要件を満たすことで軽減措置が適用される場合があります。

一棟アパートの購入シミュレーションでは、購入後に発生する不動産取得税を忘れずに資金計画へ入れておくことが重要です。

登録免許税

不動産を取得すると、所有権移転登記などを行います。

その際に発生する税金が登録免許税です。

融資を利用して抵当権を設定する場合には、抵当権設定登記に関する登録免許税も考慮します。

印紙税

不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書などの課税文書を作成する場合、印紙税が発生することがあります。

契約金額や契約書の内容によって金額が異なります。

消費税

土地の売買は原則として消費税の非課税取引です。

一方、建物については売主が課税事業者である場合など、取引条件によって消費税が発生します。

そのため、一棟アパート購入では、

土地価格と建物価格の内訳

も確認しておくことが重要です。

一棟アパート保有中にかかる税金

一棟アパートを所有している期間にも複数の税金が関係します。

固定資産税

毎年1月1日時点で土地・建物などを所有している人に対して課税される地方税です。

一棟アパート投資では毎年発生する代表的な保有コストになるため、年間運営経費に含めてシミュレーションします。

都市計画税

市街化区域内に土地・建物を所有している場合などに課税される税金です。

固定資産税と合わせて年間経費として計算します。

所得税

個人で一棟アパートを所有する場合、家賃収入から必要経費を差し引いて不動産所得を計算します。

基本的には、

不動産収入-必要経費=不動産所得

です。

不動産所得は給与所得など他の所得との関係も含めて所得税額が決まります。

住民税

不動産所得などを含めた所得に対して住民税も関係します。

そのため、税引後キャッシュフローを計算する場合は所得税だけでなく住民税も考慮します。

個人事業税

一定規模の不動産貸付など、要件に該当する場合には個人事業税が課税されることがあります。

すべての一棟アパート所有者に必ず課税されるわけではないため、所有戸数・棟数・貸付規模などを確認する必要があります。

消費税

居住用として貸し付ける住宅家賃は原則として消費税非課税です。

ただし、店舗・事務所・駐車場などが含まれる場合には取扱いが異なることがあります。

減価償却をシミュレーションする

一棟アパート投資の税金を計算するうえで非常に重要なのが減価償却です。

土地は減価償却できませんが、建物など一定の資産は耐用年数に応じて減価償却します。

建物構造によって法定耐用年数が異なる

建物の法定耐用年数は構造によって異なります。

例えば住宅用建物では、

木造:22年
軽量鉄骨造:骨格材の厚みにより異なる
重量鉄骨造:34年
鉄筋コンクリート造:47年

など、構造によって異なります。

中古アパートの場合には、築年数によって税務上使用する耐用年数が変わる場合があります。

そのため、

構造+築年数 → 耐用年数 → 減価償却費

まで連動して計算することが重要です。

ローン返済額と経費は同じではない

不動産投資初心者が特に注意したいポイントです。

ローン返済額すべてを税務上の必要経費にできるわけではありません。

ローン利息

一定の要件のもと、必要経費として扱われる部分があります。

ローン元金

元金返済部分は原則として必要経費ではありません。

そのため、

実際のキャッシュフロー

税務上の不動産所得

には差が生じます。

税引後キャッシュフローを計算する

最終的には税金まで考慮して、

実際に年間いくら現金が残るのか

を確認します。

考え方としては、

家賃収入
-運営経費
-ローン返済
=税引前キャッシュフロー

さらに、

税引前キャッシュフロー
-所得税・住民税・該当する税金

によって税引後キャッシュフローを確認します。

ただし、実際の所得税額は給与所得やその他の所得、所得控除などによって変わるため、個人ごとに計算する必要があります。

一棟アパート売却時にかかる税金

一棟アパート投資では、購入時と保有中だけでなく「売却時の税金」までシミュレーションすることが重要です。

譲渡所得に対する税金

一般に「譲渡税」と呼ばれることがありますが、「譲渡税」という一つの税金があるわけではありません。

土地・建物を売却して譲渡所得が発生した場合、その譲渡所得に対して所得税・住民税・復興特別所得税が関係します。

譲渡所得の基本的な計算方法

基本的な考え方は、

売却価格-取得費-譲渡費用=譲渡所得

です。

ただし建物については、所有期間中の減価償却費相当額などを考慮して取得費を計算します。

そのため、

減価償却によって保有中の所得を圧縮できても、売却時の譲渡所得が大きくなる場合がある

という点には注意が必要です。

所有期間によって税率が変わる

土地・建物の譲渡所得は、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。

判定では、単純な「購入日から売却日まで」ではなく、売却した年の1月1日時点における所有期間が重要になります。

短期間で売却する場合と長期間保有して売却する場合では税率が大きく異なるため、出口戦略を考える際には重要なポイントです。

売却時の印紙税

不動産売買契約書を作成する場合には、売買価格などに応じて印紙税が発生する場合があります。

売却時の消費税

課税事業者が事業として建物を売却する場合などには、建物部分について消費税が関係する場合があります。

土地の譲渡は原則として消費税非課税です。

一棟アパート投資の税金は3段階で考える

税金を分かりやすく整理すると、次のようになります。

タイミング主な税金
購入時不動産取得税・登録免許税・印紙税・消費税(条件による)
保有中固定資産税・都市計画税・所得税・住民税・個人事業税(条件による)・消費税(条件による)
売却時譲渡所得に対する所得税・住民税・復興特別所得税・印紙税・消費税(条件による)

この3段階をシミュレーションへ組み込むことで、より実際の投資収支に近づけることができます。

一棟アパートの積算評価を確認する

一棟アパートでは収益性だけではなく、土地・建物の資産価値も確認します。

代表的な方法の一つが「積算評価」です。

土地の積算評価

概算では、路線価などを利用して、

路線価 × 土地面積

を基礎に評価します。

例えば、

路線価:30万円/㎡
土地面積:200㎡

なら、

30万円 × 200㎡

6,000万円

となります。

実際の評価では土地形状や接道状況などによる補正も考慮する必要があります。

建物の積算評価

建物については、

再調達価格 × 延床面積 × 残存割合

などによって概算する方法があります。

ただし、金融機関によって評価方法や再調達価格などは異なります。

積算評価額が物件価格を超えているか確認する

例えば、

土地積算評価:6,000万円
建物積算評価:2,500万円

なら、

積算評価額は、

8,500万円

です。

物件価格が8,000万円なら、

積算評価額8,500万円 > 物件価格8,000万円

となります。

さらに、

8,500万円 ÷ 8,000万円 × 100

106.25%

です。

このように物件価格に対する積算評価額の割合を確認します。

ただし、積算評価が物件価格を上回っているから必ず融資が出るという意味ではありません。

金融機関によって担保評価方法・掛目・融資基準は異なります。

収益還元評価も確認する

積算評価と合わせて確認したいのが収益還元評価です。

例えば、

NOI:456万円
還元利回り:6%

なら、

456万円 ÷ 6%

7,600万円

となります。

そのため、

売買価格

積算評価額

収益還元評価額

の3つを比較すると、物件価格の妥当性を判断しやすくなります。

建蔽率・容積率を確認する

一棟アパート投資では収益だけでなく、建物が法的な条件を満たしているか確認する必要があります。

建蔽率

建蔽率は、

建築面積 ÷ 敷地面積 ×100

で計算します。

指定建蔽率と実際の建蔽率を比較します。

容積率

容積率は、

延床面積 ÷ 敷地面積 ×100

で計算します。

ただし容積率は用途地域の指定容積率だけでなく、前面道路幅員による制限を受ける場合があります。

そのため、

指定容積率と前面道路幅員による容積率制限の両方を確認する

ことが重要です。

接道・再建築の可否を確認する

一棟アパートでは出口戦略にも大きく影響するため、道路条件も確認します。

主なチェック項目は、

  • 建築基準法上の道路か
  • 公道か私道か
  • 道路幅員
  • 接道間口
  • セットバック
  • 私道持分
  • 通行・掘削
  • 再建築可否

などです。

現在アパートが建っているからといって、将来同じ規模のアパートへ建て替えられるとは限りません。

35年間の長期収支をシミュレーションする

一棟アパートは長期保有になるケースも多いため、1年間だけでなく長期的な収支を確認することが重要です。

例えば35年間について、

  • 家賃収入
  • 家賃下落
  • 空室率
  • 運営経費
  • 固定資産税等
  • 修繕費
  • 大規模修繕
  • ローン返済額
  • 元金返済額
  • 利息
  • ローン残高
  • 減価償却費
  • 不動産所得
  • 所得税等
  • 税引後キャッシュフロー
  • 累計キャッシュフロー

を年ごとに計算します。

家賃下落をシミュレーションする

現在の家賃が将来も維持できるとは限りません。

例えば、

年間家賃下落率0%
年間家賃下落率0.5%
年間家賃下落率1.0%

など複数の条件を設定します。

築年数が経過したときにどの程度キャッシュフローが変化するか確認できます。

金利上昇をシミュレーションする

変動金利で融資を受ける場合には、金利上昇リスクも確認します。

例えば、

現在:2.0%
ケース①:2.5%
ケース②:3.0%
ケース③:4.0%

として、

年間返済額
DSCR
税引前CF
税引後CF

がどの程度変化するか確認します。

大規模修繕をシミュレーションする

長期保有では、通常の修繕費とは別に大規模な支出が発生する可能性があります。

例えば、

  • 外壁塗装
  • 屋根
  • 防水
  • 給排水設備
  • 給湯器
  • エアコン
  • 共用設備
  • 消防設備
  • 室内設備

などです。

10年目、15年目、20年目などに大規模修繕費を設定しておくことで、より現実的なキャッシュフローを確認できます。

売却まで含めた出口戦略をシミュレーションする

一棟アパート投資の最終的な収益を確認するには、売却まで含めて考える必要があります。

例えば20年後に売却する場合、

売却価格
-売却諸費用
-ローン残高
-売却時の税金
=売却後の手残り

という考え方で計算します。

さらに、

保有期間中の累計税引後CF+売却後の手残り-当初投入自己資金

まで計算すると、投資全体としてどの程度利益が出たのか確認しやすくなります。

一棟アパート投資シミュレーションの具体例

例えば次の一棟アパートを購入するとします。

項目条件
物件価格8,000万円
満室年間家賃600万円
表面利回り7.5%
想定空室率5%
実効年間収入570万円
年間運営経費114万円
NOI456万円
実質利回り5.7%
借入金額6,400万円
金利2.0%
借入期間30年
年間返済額約284万円
税引前CF約172万円
DSCR約1.61
返済比率約49.8%
頭金1,600万円
購入諸費用560万円
投入自己資金2,160万円
CCR約8.0%
損益分岐入居率約66%

表面利回りだけを見ると7.5%ですが、空室・経費・ローン返済まで考慮すると、実際のキャッシュフローは大きく変わります。

さらにここから所得税・住民税などを考慮して、税引後キャッシュフローを確認する必要があります。

一棟アパート購入前のチェックリスト

購入を検討するときは、少なくとも以下を確認しましょう。

収益性

  • 表面利回り
  • 実質利回り
  • NOI
  • CCR
  • 税引前CF
  • 税引後CF

融資・返済安全性

  • 借入額
  • 金利
  • 融資期間
  • 年間返済額
  • DSCR
  • 返済比率
  • 損益分岐入居率
  • 金利上昇時の収支

税金

  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 所得税
  • 住民税
  • 個人事業税
  • 消費税
  • 売却時の譲渡所得に対する税金

資産価値

  • 土地積算評価
  • 建物積算評価
  • 積算評価額
  • 物件価格に対する積算評価割合
  • 収益還元評価

法的条件

  • 用途地域
  • 建蔽率
  • 容積率
  • 前面道路
  • 接道間口
  • セットバック
  • 再建築可否

長期リスク

  • 空室率上昇
  • 家賃下落
  • 金利上昇
  • 修繕費増加
  • 大規模修繕
  • 減価償却終了
  • 売却価格下落

一棟アパート投資は「標準・慎重・ストレス」の3パターンで比較する

一棟アパート投資シミュレーションでは、1つの条件だけで判断しないことが重要です。

標準シナリオ

現在の家賃・空室率・金利などを基準として計算します。

慎重シナリオ

家賃下落や空室率上昇、修繕費増加などを想定します。

ストレスシナリオ

さらに金利上昇、大規模修繕、空室増加などが同時に発生した場合を想定します。

重要なのは、

「一番うまくいった場合にいくら儲かるか」だけではなく、「悪条件になってもローンを返済し続けられるか」

を確認することです。

一棟アパート投資で特に重要な7つの指標

一棟アパートを比較するときは、特に次の7項目を確認します。

① 表面利回り
物件価格に対する満室想定家賃の割合。

② 実質利回り
空室や運営経費を考慮した収益性。

③ NOI
物件そのものが生み出す営業純利益。

④ DSCR
NOIに対するローン返済額の余裕。

⑤ CCR
投入した自己資金に対するキャッシュフロー。

⑥ 損益分岐入居率
どの程度まで入居率が低下すると収支が厳しくなるか。

⑦ 積算評価
土地・建物の資産価値を確認する指標。

この7つを総合的に見ることで、表面利回りだけでは分からない一棟アパートの収益性と安全性を判断しやすくなります。

一棟アパート投資シミュレーションでよくある質問

表面利回りは何%あれば良いですか?

一概に何%以上なら良いとは判断できません。

立地、築年数、構造、融資条件、土地価値、修繕状態などによって適正な利回りは異なります。

表面利回りだけではなく、実質利回り・NOI・DSCR・CCRなどを合わせて確認することが重要です。

一棟アパートのシミュレーションに税金は入れるべきですか?

購入判断をより正確に行うのであれば入れるべきです。

特に、

購入時の税金
保有中の税金
売却時の税金

の3段階で考えることが重要です。

減価償却はキャッシュフローに影響しますか?

減価償却費そのものは、その年に同額の現金が出ていく費用ではありません。

しかし、税務上の所得計算に影響するため、結果として所得税等や税引後キャッシュフローに影響する可能性があります。

積算評価が物件価格を超えていれば良い物件ですか?

それだけでは判断できません。

積算評価が高くても家賃収入が少なければ、収益性が低い可能性があります。

逆に積算評価が低くても、立地や収益性が非常に高い物件もあります。

そのため、

収益性+融資+税金+積算評価+法的条件

を総合的に確認することが重要です。

一棟アパートは何年間シミュレーションすればよいですか?

少なくとも予定している保有期間について確認することが重要です。

長期保有を前提とする場合には、35年間など長期間で、

家賃下落
空室
修繕
金利
減価償却
ローン残高
売却

までシミュレーションすると、将来的なリスクを把握しやすくなります。

まとめ|一棟アパート投資は税金・融資・積算評価までシミュレーションする

一棟アパート投資では、表面利回りだけで購入判断をするのではなく、

収益性

表面利回り・実質利回り・NOI・CCR

融資・返済安全性

年間返済額・DSCR・返済比率・損益分岐入居率

税金

不動産取得税・登録免許税・固定資産税・都市計画税・所得税・住民税・個人事業税・売却時の税金

資産価値

土地積算評価・建物積算評価・収益還元評価

法的条件

建蔽率・容積率・接道・再建築可否

長期リスク

空室・家賃下落・金利上昇・大規模修繕・売却価格

まで総合的に確認することが重要です。

特に、

「年間収入見込が年間返済額を超えているか」

だけではなく、

「NOIが年間返済額を十分に上回っているか」

を確認します。

さらに、

「積算評価額が物件価格を超えているか」

についても確認することで、収益性だけでなく資産価値の観点からも物件を検討できます。

最終的には、

購入時 → 保有中 → 売却時

まで一連のシミュレーションを行い、

「自己資金をいくら投入して、最終的にいくらの利益が残ったのか」

まで確認することが、一棟アパート投資を判断するうえで重要です。

目次